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「市場情報・市場解説 第5回」
2006年第1四半期を振り返って(2006/4/12)

マーケット 2006年の第1四半期 各市場動向は、3月会計年度末に向けたポジション調整の中でのもみ合いといった展開でした。
会計年度末の四半期という季節的特殊要因で、ストラクチャー・ビジネスは駆け込み需要に支えられ活況でした。特に3月に関しては、前半がMTNがらみ、後半が仕組み預金等銀行サイドのビジネスが好調だったようです。
各市場に目を向けると、為替市場では、昨年12月5日に121.40とピークをつけた後、1月に急激な調整が入り113円43銭まで売られ、その後は3月末まで115円~117円を主なレンジとした動きでした。MTNでは、相変わらずPRDC債(コーラブル、トリガー、TRN)が主流で、最終満期が30年といった超長期円元本債だけでなく、最終満期15年の外貨元本+デジタル・クーポンといったストラクチャーも発行されたようです。バンク・サイドでは昨年同様、会計年度末という季節要因によるフラット為替の販売強化が行われていたようです。PRDCにおける元本リスクを取るストラクチャー同様、今年は円高方向にギアリングをつけたフラット・ストラクチャーが目につきました。
例としては、満期5~6年、90円台ストライクで円コール3:円プット1のギアリングをかけ、120円台前半にノックアウト・バリアーをつけたものです。こうしたストラクチャーのターゲット・バイが114円~116円の円高局面で、集中的に出てドル需給を支えました。
ボラティリティーは、10年デルタ・ニュ-トラルで10%半ばと低位安定していました。
日経平均の動きも、ドル・円同様に昨年の高値から調整局面となり特にライブドア事件が其の動きに拍車をかけ15,000円まで下げました。その後は16,000円を中心としたもみ合い後、3月末に高値でクローズしました。
株価系ストラクチャーに関しては、ここ1年の株価上昇により昨年同時期に設定された多くの投信に組み込まれた日経リンク債が早期償還されています。急激な株価上昇から来る警戒感、インデックスの上昇に比したリターンの低さ等懸念材料があるにもかかわらず、投資家の引き続き根強い需要に支えられ投信各社が多くの買い替え・新規ファンドを設定しています。こうした設定ファンドの影響か、比較的大きな下げ局面があったにもかかわらずボラティリティーは、1~3年ゾーンで20%前後と安定的に推移しています。
金利においては、日銀の短期金利超緩和政策解除をにらみ、特に中期ゾーンの金利上昇が顕著でした。そのためCMSスプレッドの対象である2年-20年においては、フラット化しましたが、6ヶ月-5年のスプレッドは、1月はじめ85bpから3月末145bpにまで拡大しました。この中期ゾーンにおけるスティープ化をとらえ、5年等比較的短い最終満期のリバース・フローター・コーラブル債が、魅力ある商品となりました。その他バンク・サイドにおいては、金利上昇プラスそれに伴いこれまでのコーラブル預金がコールされないためか、これまでに比べヨーロピアン・コーラブル預金の短期化(最終満期5年)が見受けられました。
投資家のリスクを積極的に取っていく姿勢が改めて感じられる会計年度末4半期でした。これから各金融機関が投資家ニーズに応えるためにいつどの商品を提供するか、商品開発力・企画力が問われる新年度となります。


「市場情報・市場解説 第4回」
2005年を振り返って(2005/12/12)

早いもので今年ももう師走を迎えるころとなりました。
この一年の市場を振り返ってみると、以下の通り日経平均株価は大幅上昇、為替も主要外貨に対して円安、また長期金利も上昇と投資家にとっては実り豊かな一年だったのではないでしょうか。
投資マインドもリスク回避からリスクを取り収益を上げることに前向きとなり、仕組み債及びエキゾチック・オプションを組み入れたプロダクトの需要を支えたように見受けられます。
各市場に目を向けると、為替リンク債では、豪ドル・コーラブルPRDC債が今年の新発債市場における主役でした。高金利通貨+資源国通貨である豪ドルは、対ドル為替で見ても他主要通貨が大きく下落する中比較的堅調に推移し、本邦投資家の根強い需要を集めました。
また、これまでの早期償還が発行体のコールによるコーラブル債、観察日の直物為替レートによるトリガー債に加え、投資家の享受した累積クーポンにより確定するターゲット・リデンプション債も登場し人気を呼びました。
今年前半ドル円が110円程度まで、輸入企業の積極的な長期為替予約・クーポンスワップ(フラット為替)の仕組みが見受けられました。その後の円安相場を振り返ると方向的には大正解でしたが、こうしたスキームをアップ・アンド・アウト・オプションにより組成した場合も散見され、今後読み以上の円安になった場合予約自体が消滅してしまうリスクが意識されます。
ボラティリティーは、各対円通貨ペアーとも下落し続けています。これは、円安からくるコールオプションからのプレッシャーが強いのか中短期ゾーンか顕著で、カーブの形状は一段とスティープ化しています。
株価に目を向けると、日経225は今年6月末まで相場的には膠着状態が続き、昨年多くの日経株価平均を参照にした早期償還条項付き仕組み債の発行された11000円半ば近辺の狭い範囲内の動きでしたが、その後12000円レベル抜けてから市場は一気に上昇。直近の15700円までほぼ一方的にあがり続けました。その動きに合わせ6月まで低下する一方であったボラティリティーも大きく上昇しました。
こうした株価リンク債は主に銀行の預金代替商品として窓販用に組成された投資信託に組み込まれており、株価上昇でこれまで組成された投信が早期償還され、また乗り換えもスムーズに行われたようで順調に残高が増えているようです。急激な上昇により警戒感はあるものの、スキーム的には取引時投資家の売ったボラティリティーをクーポンに転化させるものなので、ボラティリティーの上昇に伴い高いクーポン・レートが期待できます。
金利仕組みに関しては、CMS及びリバース・フローターのコーラブル債に加えターゲット・リデンプションも人気を集めたようです。CMSは世界的にもブームで、ある専門誌は、CMSスプレッド関連の仕組み債は今年少なくとも300億ドルが取引されていると予想していました。仕組みもより複雑になり、海外ではCMSのスプレッドをクーポンにするだけでなく、そのスプレッドを参照レートとしたレンジ・アクルーアル債も取引されているようです。規し、ここまで複雑化したストラクチャーのリスクすべてを考慮しプライスできるモデル開発は、マーケット・メーカーにとっても困難であるようです。実務的には、リサーチ・フロント一体となり、仕組みの主要リスクを特定してモデルを構築し、そのモデルの限界を見極めた上でリスク管理をしていくことになります。
今年はこれまでこうした仕組みプロダクト・ビジネスにおいて取引仲介者としての役割を担ってきた本邦の金融機関が、マーケット・メーカーとしてこうしたストラクチャーを通じて自らの資金調達及びポジションのリスク管理を積極化させてきた一年でした。
こうした動きは大手証券会社(海外ネームを含め)によるMTNプログラムを使った仕組み債発行、大手銀行による地方金融機関に対する仕組み預金に見られます。
このビジネスの特徴は、フローが一方的に偏りがちかつヘッジ手法が限定的な点です。リスク管理の巧拙がビジネス成功の鍵を握るため、先に触れたたように、マーケット・メーカーを担う金融機関は、これまで以上に強固なリスク管理体制の構築を目指すことになるでしょう。

こちらに掲載した記事は古いものですが、掲載当時の仕組債市場を知る上で参考になるかと思い、あえて当時のまま残してあります。